打越眠主主義人民共和国

”うちこし”と読みます

易についてその二 占法と判断

この記事では易という占いについて説明しているが、この回は第一回の直接の続きなので先にそちらを読んで欲しい。

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前回では男と話をして、彼が国会選挙で当選できるか否かを占うことになった。彼は野心あって中央に進出したいのだが、地元に地盤を持っている与党政治家の存在が邪魔なのだ。今回は実際に道具を用いて占いの結果を出し、それを客に伝えるところまでを書いていく。

 

易占いにはいろいろ道具がある。人によって違うが、私の場合には以下のものを使う。

アマゾンで売っていた易道具一式セットの説明画像。記事末にリンクを貼っておきます。

画像の一番上に束ねてあるのが筮竹。竹ひごのようなものが50本ある。これを二つに取り分けて本数をカウントすることで占う。左にあるのが筮筒で、筮竹の入れ物である。中央にあるのは筮竹台で、筮竹を二つに取り分けた際カウントしないほうの束を一時的に置くのに使う。その下にあるのが占いの結果を記録するのに用いる算木という道具である。右手にあるのはたぶん易の結果を記した本ではないかと思うが、私は違う本を使っている。

一 まず筮筒から50本の筮竹を取り出す。このとき一本を取り出し、筮筒に残す。この一本は占いに用いない。

二 49本の筮竹を無心で二つに分け、右手に取った束を筮竹台に置く。置いたほうの束から一本を取り出し、束を持ったままの左手の小指に挟む。

三 左手で握っている束から2本ずつ取り除き、8本を数える。これを繰り返し、8本取り除けなくなったときの余りを数える。もしちょうど割り切れれば、小指の1本が答え。割り切れなければ残った本数に小指の1本を足す。つまり結果は1から8の数字になる。

四 以上の動作を六回繰り返す。

結果が2,3,5本なら、陰である。4,6,7本なら、陽である。1本は老陽、8本は老陰。

ここで陰とか陽とかいった新しい用語が出てきた。これは中国の陰陽思想に由来するもので、陽は積極的な力、君子(立派なひと)や奇数を表す。陰は逆に受動的な力、小人(君子の逆)や偶数を表す。この陰陽の二通りが基本となる。二通りの結果を六回出すから、2の6乗で64通りの結果がこの占いにはあるということになる。それぞれの結果を卦(け)というので、これらを六十四卦という。

ここで道具の画像の算木を見ていただきたい。中央下の道具である。六本の木の棒でできているが、それぞれの棒には表と裏がある。間に白地が入って左右に分かれているのが陰、分かれていない横一本の形になっている面が陽を表している。なおこの6つの陰陽をそれぞれ爻(こう)という。

老陽、老陰とはなにか。これは易という占いの奥深いところで、陽は陰に、陰は陽に変化していく性質がある。老というのは変化しかかっているという意味である。これを変爻という。老陰と老陽はそれとわかるように算木の位置を少しずらして記録する。

 

夬

さて、今回出た結果は以上のようになった。下五つが陽、一番上が陰である。なお画像には反映されていないが、一番上の陽は変爻で、陰に変化しかかっている。

六十四卦のうちこれは夬(かい)という結果で、変爻の部分は九五変と表記する。九は陽のこと、五とは下から五番目の意である。

この結果を易の本を読んで解釈していくわけである。六十四卦にはそれぞれ卦辞という、その卦の説明がある。易という経書の一番重要な部分である。夬の卦辞は以下の通りである。

夬、揚于王庭。孚号、有厲。告自邑。不利即戎。利有攸往。 
夬は王庭に揚ぐ。孚(まこと)あって号(さけ)ぶ。厲(あやう)きことあり。告ぐること邑(ゆう)よりす。戎(じゅう)に即(つ)くに利あらず。往くところあるに利あり。

どういう意味か。夬とは弓を引くときに使う道具のことで、弦を離すことを物事の決断に例えている。だからこの結果の大まかな意味は決断する、物事を押し切るということになる。王庭に揚ぐとは王の宮廷で宣言すること。告は命令、邑は自分の領土や私兵部隊。戎に即くとは戦争に従軍すること。

この卦は下の五爻は陽なので君子の勢いが盛んである。だが一番上に陰、小人の勢力がわずかに残っている。勢い盛んな君子がこの小人を始末しようとするのは当然である。だがその前にまず宮廷でこの小人の罪を明らかにする必要がある。「王庭に揚ぐ」とはそのこと。そのためには誠意を尽くして人々に訴える必要がある。「孚あって号ぶ」わけである。だが実力行使に出る以上危険はある(厲きことあり)。だからまずは自分の地盤をよく固めておく必要がある(告ぐること邑よりす)。戎に即くに利あらずとは武力ばかりに頼ってむやみに戦争を起こしてはいけないという警告であり、以上の姿勢を守れば「往くところあるに利あり」となる。

君子が小人を退治するのは正しい。それが成就するのだからこの夬という結果は基本的にポジティブな意味で捉えてよい。そのことがわかった時点で、私は客に「悪くはないですね」とか「いい結果ではあると思いますよ」と告げることにしている。私が占い道具を操作し、本と睨み合っている間、たいていの客は明らかに不安がり、私の表情の変化に一喜一憂するから、この一言で彼らは安心して結果の説明を聞くことができるようになる。

 

次に変爻について考える。九五変をどう解釈するか。これは二通りのやり方がある。まずは変爻前と変爻後を比較することである。九五が変じて六五になる、つまり上の二つの爻が陰で下四つが陽になると大壮という結果に変化する。だから夬が現状、それがやがて大壮になるという考えだ。変爻が二つ以上ある場合にはこちらの方法を使う。

だが今回は変爻が一つだけなので、その場合は占っている人、この場合は客の男の立場を象徴しているのが九五であると考える手法を使う。六つあるそれぞれの爻には爻辞という説明があるのでそれを読んでみよう。

九五、莧陸夬夬。中行无咎。
九五は莧陸夬夬(けんりくかいかい)。中行(ちゅうこう)にして咎(とが)なし。

易にはときどき何の話をしているのかよくわからない下りが出てくるが、これはわかりづらい部類といいっていい。莧陸とは草の一種らしいが、論者によってどの草のことなのか一致した見解がない。どうも水場に生えるものらしく、この場合一番上の陰、上六と接していることを意味するようだ。

中行とは易の用語で”中正”を達成していますよということ。偶数爻に陰が、奇数爻に陽が来るとめでたい。これを正を得ると呼ぶ。中とは第二爻と第五爻のことで、下半分の三つと上半分の三つのそれぞれ中間ということ。この中間が正を得ているとますますめでたい。これが中正である。

実は爻はそれぞれの位置が人物の位を意味している。一番下の初爻であれば社会にでる前の学生、その上が新人、順に中間管理職、第四爻は国であれば大臣、会社なら役員、第五爻は君主や社長、そして一番上の上爻は隠居した人。上皇や会長である。最もリーダーシップを発揮すべき君主、つまり第五爻に陽がくるのはとてもいいというわけ。

咎なしとは災いを避けうるということで、吉には及ばないが悪くはない。

立派な人物が君主として小人に接するのであれば、武力ではなく仁徳で相手の振る舞いを変えるのが本来望ましい。だが夬という結果ではそれができず武力に頼らざるを得なくなってしまう。相手は自分より年かさだからだ。”中行”であるにも関わらず吉ではなく咎なしに留まるのはそのためである。

この爻は占者に対してある種の警告を発している。咎なしに込められた微妙なニュアンスがこの占いの要点であろう。

 

「あなたはライバルを蹴落として国会議員になれるか。なれる、というのが私の答えです。チャンスは大いにあり、時の運はあなたに味方するでしょう」

夬はゆくところに利あり。そして男は第五爻、つまり君主の位にいる。地盤を持って小選挙区を勝ち抜いた議員は一国一城の主だ。

「選挙に打って出るならば、父の地盤を受け継げる地元で勝負するべきです。告げること邑よりするとありますから。県知事も可能性としては大ですが……。小人を斬る夬が出たということは、これはあなたに小人を斬れと命令しているようにも読める。だから国会選挙に出て、あなたが邪魔なあの(ライバル政治家の名前)を始末せねばならないということでしょう。敢えて勝負を挑むべきだ」

男は出馬する時期についてしつこく質問してきた。

「時期についてはわかりません。戎に即くに利あらずとありますから、自分の態勢が整わないうちに勝負をすべきでないということはいえるでしょう。ライバル政治家の不祥事など、有利な条件を待つべきではないでしょうか。第六爻は小人ですからね。爻といえばあなたのいる第五爻は陽。陽は積極性を象徴している。そういう点でいえば、あなた自身が勝負を仕掛けるときだと感じたら、自分の判断力を信じてもいいでしょう。夬は一年でいうと三月に当たるのですが、あまり関係ないと思います。たまたま選挙の時期が三月になればいい時期といえるかもしれませんが、これは参考にする程度です」

易の結果を解釈する方法は何通りもある。だから問いに対する答えを解釈する線は一つではない。占い師はその線のなかで状況に当てはまらないもの、相互に矛盾する線などを取り除いていき、最後に相手に伝えるべき線を特定する。特定した線には時期の情報はなかったが、客が質問してきたので参考程度と断った上で付け加えたわけである。

男は満足した。わかりました、と言って財布を取り出したので、私は慌てて制止して付け加えた。

「夬も、夬の九五変も大変めでたい結果ではあります。けれどもとても危険な結果でもあるんですよ。本来君子は仁徳で天下を治めなければならない。ですがそれが出来ないと言っているんです」

「王道をいけということでしょうか」

「いえ。夬は夬ですから。そのライバル政治家を蹴落とすための最初の選挙。そこが肝心だ。そこで勝つためには出来ることはなんでもやんなきゃいけない。でも一度勝って議員になったら、もう汚い手はやめなきゃいけない。それがあなたにできるか? 政治家としての器そこで真に試されるということです」

 

切りがいいので今回はここまで。次回はこの実例を元に、実際の占いで気にするポイントや他の解釈方法などをいくつか説明する。

 

【画像引用元】

ちなみにアフィとかではないです。

易占いについてその一 占的を絞る

これから何回かにわけて、易という占いについての記事を書きたいと思う。現実で付き合いのある友人諸氏であれば知っていると思うが、私が十年ほど趣味でやっている占いで、ここしばらくは仕事にも使っている。

当たるのか、と問われれば百発百中とはいかないと答える。しかし半々は超えて、六七割ぐらいは的中しているのではないかという肌感覚はある。自分自身人生で岐路にたったと感じたときに何度かこの占いに頼ってきた。

記事を公開するのは第一に自分の今持っている知識を整理するためである。何かの形でアウトプットするのはいい勉強法だと思う。私の易に関する知識はすべて独学で読んだ本も少ないから、記事の内容の正しさについてはなんの保証もない。個人的にノートなどにまとめることも考えたがあえて記事を公開するのは、誰か見識のある人がこの記事を見つけて私の拙い誤りを指摘してくれないかと期待するからである。

易の解説をするにあたって大学の講義の初回がそうするみたいに、背後にある古代中国の陰陽思想であるとか、その歴史的成り立ちから始めてもいい。しかしそれは今後に譲って、初回は占いの現場で私がやっている占い方を書いてみることにする。

例として挙げるのは私が過去に友人や客から受けた実際の相談だが、当然個人を特定できないよう内容は伏せたり改変を加えている。なお自分のことではないかという心当たりのある方から苦情を受けた場合には書き換えるので、そのときは申し出ていただきたい。

 

客は若い男女の二人連れである。小綺麗な女と、体格がよく声に張りのある男。二人とも身なりがよく、自分に自信を持っているという印象を受ける。カップルのようにも見えたがいくらか他人行儀が残っていた。聞いてみると最近アプリで出会って付き合い始めたがまだ日は浅いということであった。

易について簡単に説明し、なにか占いたい具体的な悩みや疑問はあるかと問うと、男のほうが自分の出世を占って欲しいのだという。

出世。どういう出世か。会社のなかの出世かあるいは立身出世して有名になりたいのか。出世して何がしたいのか、金持ちになりたいとか? なら出世とはいわないか。

私はまず客に対して、この易という占いの特徴は問いかけが詳細であればあるほど、占いの答えも詳細になることだ、と説明した。

「例えば転職の占いでしたら、今の会社にこういう不満がある、自分にはこういうスキルや経験がある、だからこういう業界に挑戦したい、といったことです。しかしそういった事情を話せない、あるいは話したくない理由があるならそれでも構いません。その場合は漠然と、いいかわるいかだけを占うことになります」

これは毎回言っている定型句だ。たいていの客はそう言われて初めててうーんうーんと考えはじめるのだが、この男はすこし違った。

「私は商社に勤めていてですね……実は最近昇進しました。でも聞きたいのはそれじゃなくてですね。私は政治家になりたいんです。なれますか?」

「政治ですか。いいですね。占えますよ。しかし問題なのは、ゴール地点をどこに置くかということです。例えばカップルの仲を占って欲しいといわれると、あなたたちはどれくらい真剣につきあってらっしゃる? 結婚まで考えていますか、と私は尋ねます。二人が真剣なら結婚してその後の夫婦生活が幸せにになるかどうかという、長い目で占うわけです。そういうのじゃないけどとりあえず付き合ってるんですっていうんなら、逆に目標を決めずただ二人の相性を占う。つまり目標がまずあって、それを達成できるか否かを占うのがいいわけです。あなたは政治家としてどこまで出世したい? やっぱり目指すとすれば首相?」

首相という言葉を出すと男は笑って、いやそこまでは望まないが大臣にはなりたいと答えた。なんの大臣か聞くと地方の過疎化に問題意識を持っているので総務大臣国交相あたりをやりたいとのことだった。

私は出世の度合いよりもこの男の関心分野について掘り下げてみようと思った。過疎問題をやりたいきっかけを聞くと、いわく男は山陰の田舎の出身で、父が県議会議員なのだという。

「すると政治家は政治家でも、地方議員という選択肢もあるわけですね。世襲して……」

「そうなんですが、私は絶対に国会議員がいいんです」

「中央に行きたいと。それは過疎化問題は国じゃないと解決できないからですか」

「それもありますが……」

「それだけではないわけですね。中央で政治家になりたい理由はいろいろあるじゃないですか。それで社会に貢献したいとか、有名になれるとか。あるいは……純然たる野心」

「野心ですね! 結局のところ野心ですわ」

これによって占いの主題は過疎化問題を解決できるかとか、政治家として希望のポストに就けるかどうかということではなく、純粋に本人の立身出世であるということがわかった。すると問題になるのは、それを達成するための障害である。

男の家は地方政治家として長く政権与党と深い関係を持ってきたが、地元の国会選挙区はその政権与党のある政治家の地盤である。つまり自分の地盤を活かそうとすれば党内で下剋上せざるをえない。

「そんでもってその政治家の息子も世襲政治家で、比例で当選して国会にいるんですが、自分と同い年なんです」と男は憤慨した。

最終的に占いの目標をどこに設定するか、何通りかパターンが考えられたが、男は「先生にお任せしたいです」と言ってボールをこちらに投げてきた。

「じゃあずばり、あなたが地元で立候補したときにその政治家に勝てるか。それでやってみましょう。当選したあとのことはここでは考えませんから」

 

やや長ったらしい説明になったので読者は退屈したかもしれないが、実のところこのやり取りは易占いをする上で本当に重要なので、詳しく描写した。

占いの内容を詳しく分析し、問いを明確化するこの作業を”占的をしぼる”という。相手がなにもかも話してくれるならそれに越したことはない。例に挙げたこの男はよく喋るほうで、思考も明晰、目標は明確。野心を抱くだけのことはあると感服した。

大部分の客はこうではない。漠然と起業して自分の店を持ちたいとか、漠然と今の会社をやめたいが先のことは考えてませんとか、そういうのが多い。

客の話を聞いて、状況を理解し、ありうる選択肢を示す。そのなかで一番理想的な結末はどれか、なぜそれを選ぶか。彼彼女が使える資源と手段、障害、本人の人間性。こういった要素を俯瞰的に把握すると、その客のキャラクター性のようなものが私の頭のなかでイメージとして立ち上がってくる。そこまで行ってはじめて本当にしっかりした占いができると思う。

 

記事が少し長くなったのでここでいったん一区切りにする。次回は道具を使って実際に占いの結果を出し、相手に伝えるところまで。

【愚問】占い師なんぞで食っていけるのか【事前に考えろ】

というわけで今回は占い師なんぞやってて生活していけるのかよという問題について考えることにする。これを書いている段階でまだ収入の相場感も税金や社会保障の支払い方もなんもわからっておらんのだが、後日になってこういう考えを当時していたという参考情報を残しておくのも一つありかなと思って書いてみる。

 

まず大前提として、占い師が占いをするといえばやはり占いの館だろう。街角にテーブルだけ出して一人でやるというのも考えたが、道路使用許可とかそういうのがうるさそうなのでやめた。ネットや電話で占いをするケースも多い(しなんならそっちのほうが儲けは大きいという説さえある)のだが、最初なので基本に忠実に館に所属することを目指してみた。

いくつか見てみた範囲では基本的に館に所属する場合は歩合給になるようだ。客の支払いの、つまり売上の50%がそのまま占い師の取り分というケースが一般的だった。

しかし多くの占いの館は自分の探したエリアの場所柄か手相が必須というケースが多く、加えてホームページを見た感じしっかりしてそうな館は採用にあたって実技試験を課す場合が多かった。自分は易だけならアマチュアでかれこれ6年ほどやっているが、それ以外の占いは経験がない。まして占いを商売でやって金をもらったこともない。

それで手相必須と実技試験ありの記載がない館を一箇所見つけ、そこに電話したところ前回の記事のような顛末で採用と相成ったわけである。ちなみに手相は結局のところ必須だったので今必死こいて勉強している。それはまあいいとしても、問題なのは歩合が40%だったことだろう。収入が想定からそのまま二割も減ることになるからかなり厳しい出だしだ。採用がいい加減だとこんなもんなんだろうか? それとも未経験者が降り出しするときの相場がこれなのか? ある程度感覚を掴んだら他の館を当たってみるのもいいかもしれない。が、ともかく今回は歩合四割というのを前提に考えていく。

 

はじめにこれぐらいはなんとかして稼ぎたいという最低ラインを想定してみる。フリーターで、時給千円で一日十時間、週五日(つまり月22日)働いた場合、月収は22万円となる。だからこれよりも稼げなかったらアルバイトでもやったほうがマシというわけだ。

同じ労働時間占い師をやる場合、単純に一時間に千円収入があればいい。歩合四割なので目標売上は2500円だ。占い料金としては手相が一回550円で、自分のできる易であれば一回3300円となる。手相を五回やるか、易を一回でもできればクリアできる数字だ。

そんなに無理くさくもないような気がしてきた。しかしこの収入だと生活はかなり切り詰めなくてはならない。文字通り生きていく最低ラインと考えたほうがいいだろう。

 

次に現在の生活水準を維持できるラインを考えてみよう。船員としてはだいたい額面が30万程度。雇用労働者ではなくなるから社会保険料が割高になるが、とりあえずこれと同じ月収を目指す。ボーナスについては考えない、どの道大した額を貰っていない。

計算上切りがいいので目標月収額を308,000円とする。これを22日で割ると一日あたり14,000円。一日八時間労働とすると1750円。今よりいい館に移って歩合五割で働いていると仮定すれば、売上は一時間あたり3500円となる。

先の想定に比べれば目標額は上がったが、一時間に一回は易で占いをやればほぼクリアできるラインというのは変わらない。

 

まずは最低限生存ラインを目指しつつ、最大風速でもいいので現生活水準ラインに達することを目指してみたい。現生活水準ラインの月収を一ヶ月分達成できれば、プロの占い師として専業で食っていけていると自称するのに十分だろう。

ご報告

仕事やめました。

給与に不満があったとか人間関係に問題があったとかではないです

次職は占い師です。マジで。なぜなら占い好きなので……

 

占い好きだし占い師やるか、と思って先日占いの館に電話したところ「じゃあ4日の5時に店まで来てください」って言われて、ああ面接とかやるんだなと思って当日行ったんですよ。

着いた瞬間「ああ○○先生来たね! じゃあ座席ここですから始めてください」って言われて即実戦投入されて、いやマジか出会って即就業なんだってびっくりしちゃった。

 

どんくらい稼げるかまっっっっったく見通しはないです。とりあえず退職金(まだ貰ってないし額も把握してねえけど)が尽きるまではやってみるつもりです。

 

働いてる店は旧ツイッターに書いとくので近くに寄ったらぜひ来てください。よろしく!!!!!

 

 

つめのしわでストレスチェック

 六級海技士の筆記試験に合格した。

 簡単な試験だったし感触もよかったが、合否発表のときはどきどきした。合否発表というもの自体に対して悪い思い出が多すぎるから。似たような理由で新年度の時期にも苦手感覚がある。ああ、またもう一年受験勉強やるんだなというあの気持ちを二回味わって、春先ののどかな空気や街の人々のなんとなく浮ついた表情から、それまで受け取っていた感情のいくらかが擦り切れたゴムのように摩耗してしまったというか。

 

 試験勉強をしていると、母親に教えてもらったストレスチェック法のことをよく思い出す。手の指のつめには、指の付け根からつめの先までに縦のしわがはいっている。つめの表面を指先で横方向になでれば、わかるはずだ。そのしわの深さが深ければ深いほど、その人の抱えているストレスは大きいのだという。親指のつめが一番わかりやすいが、なでる方向の縦と横を間違えないように注意する必要がある。

 この法則を習ったのは確かまだ小学校に上がる前で、そのとき私のつめを触ってご覧と言われてふれた母親のつめのしわは本当に本当に深かった。その頃の自分のつめにはしわはなかったから、ただ母のつめが特別なんだろうと幼心に考えて、そのときは正直いって法則を信じなかった。

 それから何年かたって、中学受験に向けて勉強して終わりのない宿題や湿気のよどんだ塾の教室の空気に苦しんでいた頃、法則のことをふと思い出した。撫でてみると自分のつめには、はっきりとしわができていた。昔の母親のそれほどではなかったが。それからふとしたときに自分のつめを撫でて自分のストレスを確かめるくせがついた。自分の心中にたずねるよりもつめのしわは確実であるような気がした。

 二月に第一志望への合格が決まると、ほんの数週間もしないうちにつめはなめらかになった。本当に数日のことだった。つめをなでるくせもやらなくなり、法則のことを心から信じるようになっていたが思い出すことは稀になった。

 久しぶりに合否発表というものに触れてふと思い出したので、書き留めておく。

日記2023/07/06 ボート免許取った

先日小型船舶免許を取得した。労働組合の補助事業を活用したので費用は宿泊費と免許申請手続の手数料だけで済んだ。自費で一級免許を取ろうとすると20万円以上かかるので、かなりおいしい。

業務上はほとんど役に立たないが、一応船に備え付けている救助艇を動かせるようになる。それに学科の内容が海技士免許のそれの簡易版みたいになっていて、ちょうど海技士の勉強をはじめるにあたって最初のステップとしてちょうどよかった。特に海図の使い方などは独学だと限界があると思っていたので講習を受けられてありがたいと思う。

 

せっかく免許を取ったのだからなにかに使わないと持ったいないだろう。なのでプレジャーボートのレンタルサービスに登録することにした。今日ちょうど会員証が届いたところだ。

sea-style.yamaha-motor.co.jpこれだ。そこそこするけど、ボートを直接買ったら安いやつでも数百万、繋船管理料とかその他の維持費を考えたらとんでもないことになるから、これでも安くすむのは間違いない。

レンタル料金はボートのサイズごとに違うが、例えば比較的大きくて装備の整ったS-QUALOやYFR-27あたりだと、八月の土日祝日のレンタルで46,310円(燃料費別)となる。8人で割り勘すれば一人あたり約5800円。出せない額ではない。人数がそれより少なければ船のサイズを小さくすればいいのだ。

 

そういうわけで8月中にも友人を連れて沖釣りに出かけようと思っている。小さい船でも船長は船長だぞ。テンション上がっちゃうな。

ところでいつか金がたまったら最近国家資格化されたドローン操縦士の免許も取りたい。そうしたら陸海空制覇だし。実利ゼロかもしれないけどなんかかっこよくない?

精神レベルがマジで少年で止まってるんだけど、俺はもうそういう感じで残りの20代をやっていこうと思う。

日記2023/07/05

昨日に同様体が重い。どうも椅子に座りっぱなしなのがよくないようだ。あとは座る姿勢。デスクワークの仕事に就職してたら今頃棺の中だろうな。

明日はどこかへ出かけよう。とにかく用事をつくって外出せざるをえなくするのが一番いい。

 

人と集まって遊ぶ約束をつくり、その日程や場所を調整する。そういう役回りを引き受けることが大学を離れてから増えた気がする。学生時代からの縁を切らさないよう強く意識しているからだろう。定期的に連絡を取り合うことのハードルはSNS全盛の現在ではかなり低くなっていると思うが、それでも連絡が途切れたかつての友人はあっという間に他人になってしまう。というか実際自分の管理しきれる範囲を超えた人間関係はそれで強制的に整理されてしまった。そういうふうにして、別に悪感情があったわけでもないのになんとなく疎遠になってしまった人は多いけれど、それは向こうも同様でなにかのきっかけがあればまた気兼ねせず昔の気安さは帰ってきてくれる、そう信じたい。

 

働き始めてから新しい人間関係を開拓することはいくらか難しくなった。職場は別。職場の人間関係は、なんというかオフの日に会っても潮の匂いがするんだよな。いや潮の匂いって(笑) 同僚たちとは上手くやれていると思うが、以前からの人間関係の退潮がつくる空白を埋める要素にはならないと思う。

そういうわけで職場は別で、学生以来の縁は維持していくので精一杯、拡張は期待しないとなると、結局新しいコミュニティを探すしかないのか? 人によってはそこに恋人とか、配偶者と子供ができて、ライフステージ?が変化していくとかなんだろうけど、今のところそっちの当てはない。それが問題なのか? 今あるものを抱えていくだけで大変なのに、新しい問題に直面しているということなのか? わからないが、とにかくこれから夕飯なので今日の日記はここで終わりにする。